作品の解説
中村 秋塘の精微(ごく細かいところまでよく整っている様子)で端麗な画風は、気品の高さを誇りとする江沼九谷そのもので、この作品は正にその通りです。
サイズ 口径 約2.2cm 胴径 約8.8cm 高さ 約16cm
ふっくらとした徳利の胴に合わせて、竹がしなっていて、雀がその竹やぶの巣に戻るところを描いています。見事な構図です。
徳利の口元には波と竹を格子状に織り込んだ文様が描かれ、下の部分に矢羽の文様も手を抜くことなく描かれています。
銘は「九谷/秋塘造」と書き入れられています。
作品の制作者
初代 中村 秋塘 慶応元年(1865)生、昭和3年(1928)歿
初代 中村 秋塘は江沼の大聖寺に生まれました。明治10年(1877)、秋塘が12才のとき、八郎手を得意とした父 中村茂一郎の陶画業(明治元年(1868)を継ぎました。
その翌年、竹内吟秋が陶画工を養成すべきと考えで設立した私学校「惟新社」に入り、吟秋から陶画法を学びました。
こうした経験のもとで、父の遺風を守ると共に、広く諸窯の技法を研究し、赤絵金彩に卓越した技能を発揮しまた。秋塘の精微な画風は気品の高さを誇りとする江沼九谷の真価といえるものでした。
秋塘窯 大正6年(1917)~現在
秋塘窯は、大正6年(1917)、中村 秋塘によって自宅に開かれました。
赤絵金彩の作品や開窯の前年に開発した砡質手の作品などはいずれも優品でした。この窯の製品の販売先は主として大聖寺の井上商店であったといわれます。
この窯で養成された陶工には、ロクロ師の滝口加全(大正9年まで)、福岡義一、陶画工には梶谷竹塘、篠尾忠次郎、庄田房、笹居忠次郎、宇谷秋香、宇谷秋水、初代 井上秋晴、小島秋江、浜坂楓塘らがいました。
管理№ | 18080406 |
展示開始年月日 | 2019.9.25 |
売却 | 検討中 |
備考 |