石野竜山 四君子図福長寿文字碗 蓋付き

作品の解説

飯碗の側面と蓋にはそれぞれ三つの窓絵があり、それぞれに“四君子”と称えられた「梅と蘭」「竹」「菊」の図案が描かれています。古くから、蘭、竹、菊、梅が草木の中の君子と称えられてきましたが、江戸時代になると、それぞれが春夏秋冬の季節を代表する草木であったことから、様々な物の絵柄に、さらには吉祥文様として扱われるようになりました。

そして、蓋には“福(幸福)・長・寿”の三文字が書き込まれ、蓋の摘みの中に折り鶴が、繁栄の意味が込められた“市松模様”が多彩な色で上手く描かれています。

サイズ 碗 口径 約11 cm 高さ 約 5.5 cm    蓋を含めた高さ 約7 cm
蓋 径 約10 cm

 

“四君子”と称えた春夏秋冬の季節を代表する草木にはそれぞれに君子の特性のような意味があるといわれてきました。

“梅”は冬の厳しい寒さの中にありながら、春に先がけ、高貴な香りを漂わせます。そこに春を代表する“蘭”が“梅”の下でそこまで来ている春をそっと待っているように控え目な姿に描かれています。季節の移ろいが巧みに表現されています。

“竹”は夏でも凛とした青さを失わず、暑い中でもすっと伸びている佇まいが君子に似ているとされます。作品では“竹”を茶に塗っていますが、己が年老いても“竹”のように生きて行こうとする気持ちを表しているようです。

“菊”は寒さに向かう秋に気高き花を咲かせるので、君子の毅然さを見せます。制作者の陶画への一途な意気込みが表されているようです。

銘は「九谷/竜山/五十四才」と書き入れられています。他に「九谷/竜山」「竜山」があります。

制作者が54歳の時(大正4年)に“四君子”、“福・長・寿”の文字、折り鶴、市松模様などになぞらえて“吉祥”を、あるいは“祝い事”を記念(祈念)したように思われます。陶画工として30年の節目にこれからも(75歳で亡くなるまで)健康で陶画業が続けられるよう願ってこの作品を制作したと考えられます。

作品の制作者

石野竜山(兵太郎)  文久元年(1861)生、昭和11年(1936)歿

石野竜山は、中浜竜淵、垣内雲嶙に絵画を、八田逸山に陶画を学んだ後、明治16年(1883)、22,3歳のころ、金沢市内に大中小三つの錦窯を築き、職人2人を置いて陶画業を始めました。

竜山の作品には繊細緻密な人物、山水、花鳥が描かれ、その細描の技さは当代陶工の中で群を抜いていました。作品は、国内の展覧会のみならず、サンフランシスコ万国博覧会などの海外の展覧会にも出品され、数々の入賞という実績を残しました。

また、竜山は、小松の松原新助窯のところで、素地と釉薬との相性をよく研究したこともあり、釉薬の技術力を高めました。明治35年(1902)、上絵釉を用いて、釉下彩に近い黄彩、緑彩や、染付藍、茶褐釉、淡縁釉、桜色氷裂釉、真珠釉などを次々に開発しました。釉薬研究に大きな功績を残した名工でしたが、画家のような感覚で釉薬を作り図案や文様をより高尚なものに仕上げました。

参照№ 18101803
展示開始年月日 2019.11.29
売却 検討中
備考