作品の解説
六角の徳利の表面には竜と鳳(おおとり 鳳凰のうちの雄)が緻密に描かれ、その裏面には白と金の瑞雲が漂っている情景が描かれています。金彩を抑えているので赤だけの色調に近くなり、華美のないところが谷秋渓特有の赤絵細描であるようです。
サイズ 胴径 約7cm 高さ 約13㎝
谷秋渓は、この作品では竜のような瞳と鳳のような頸を持ち合わせればこの上なく尊い人相となるとの中国の故事「竜瞳鳳頸」をモチーフにしたと思われますが、日ごろ、下絵を見ずに一気に絵付ができたといわれたとおり、竜にも鳳にもその筆致に勢いが感じられます。
竜と鳳の図案の裏に回ると、表の赤絵金彩とは対照的に、白と金の瑞雲がたなびく天空の情景が一面に描かれています。表の面で竜や鳳の力強さを表し、裏の面で漂う瑞雲を描いているところに秋渓の巧みさが見られます。
銘は「九谷/秋渓」と赤で書き入れられています。
作品の制作者
谷 秋渓 明治21年(1888)生、昭和44年(1959)歿谷 秋渓は、江沼郡大聖寺に生まれ、明治九谷の名工 竹内吟秋(天保7年(1836)生、大正5年(1916)歿)とその三男 広沢芦秋に師事し、吟秋の門人の一人となりました。吟秋から一字をもらって「秋渓」を号とし、独立して山代で陶画業を営みました。
秋渓は竹内吟秋の影響を強く受け、多くのことを承継したといわれます。この作品のように、力強い筆致のなかにも優美さのある作品を多く制作しました。
管理№ | 18091614 |
展示開始年月日 | 202.2.10 |
売却 | 売却済み |
備考 |