上出喜山 色絵金彩四季図菓子鉢

初代 上出喜山 色絵金彩四季図菓子鉢

作品の解説

石田一郷の「 色絵金銀文様人物図杯洗」では和歌を視覚的に飾る描法が取り入れられたと解説しました。それと同じ描法によってこの鉢でも黒に塗りつぶされた外側の面に書かれた和歌(二首)と、内側の面の四季の景物(四季折々の趣のある事物、自然の風物)である花鳥、草木、風物などの絵によって四季の移ろいを表しているとみられます。

寸法 口径 約17.4cm 高さ 約10cm

内側の底には染付で鶴や吉祥紋が、側面には八つに分割された窓には“四季”おりおりの景物、春は梅に鶯、夏は衣桁(いこう)、秋は紅葉、冬は枯れ葦が描かれています。残り四つの窓には金彩の草花、金襴手の文様、吉祥雲などが描かれ、これらも華やかで繊細です。

この作品の外側の面は黒塗りされ、そこには金で二首の和歌と見られる身近な文章と松の樹が描かれ、そして見落としそうなほど小さく「九谷・上出」が書き込まれています。

側面に書かれた和歌二首は四季の移ろいを詠んだものと思われます。こうして、二首の和歌と内側の四季絵によって装飾する構図となっています。

この鉢の形は、伏せてみると、兜のように見えることから“兜鉢”と呼ばれるもので、江戸末期の吉田屋窯の兜鉢に似ていますが、明治九谷では比較的少ない鉢の形です。江沼地方には、当時、素地を専門とする窯(大蔵窯や北出窯)があり、評判の窯でした。外縁に向かって薄く反っていく成形で、やや高台が高く、その形はとても美しいです。

銘は金字で黒の側面に「九谷/上出」と書き込まれています。

作品の制作者

初代 上出喜山 天保13年(1842)生、明治30年(1897)歿

“初代 上出喜山”と呼ばれた上出喜三郎は、江沼郡 栄谷の農家に生まれ、幼少のとき、病弱であったことから、農業を継がずに陶芸の道に入りました。

絵画を堀文錦、小島春晃に学び(名工 竹内吟秋、浅井一毫らが門下にいました)、明治3年(1870)から陶画業を始めました。このときが「上出」家の始まりといわれます。

初代 喜三郎は色絵をよくしました。銘は「九谷/上出」でした。一方「上出喜山」の銘を世に知らしめたのは三代目で、金彩、金襴手による小紋柄などの絵付で名声をあげました。

管理№ 18120708
展示開始年月日 2020.3.13
売却 検討中
備考